パフェを食べられない人のブログ

そんなことしてる場合か?

きっとナウシカもブラつけてなかったはず

4年前にTBSで放映されていたドラマ「おやじの背中」第2話の満島ひかりの台詞のことをずっと考えています。満島ひかり大好き。

満島ひかり演じる誠は、元ボクサーの父親役所広司をコーチに、幼い頃から父娘二人三脚で女子ボクシングでのオリンピック出場を目指す女性......だったと思います。家庭としてはもはや成り立っておらず、母は既に家を出ていて、古ぼけたボクシングジムで彼女は日夜血の滲むような努力をしていて、父親は割にクソ野郎で娘より年下の彼女?愛人?的ないかにもなかわいい女の子と付き合って?セックスをして?いる。その女の子が、誠ちゃんにって、満島ひかりにかわいいブラジャーをくれる......という状況だったのではないかと思う。ジムで、女遊び?デート?から帰ってきた父親に彼女がブチ切れるシーンのことが、私はどうしても忘れられません。

 

 「今立ち止まったら、悲しみに溺れてしまう。進まなきゃ」。風の谷のナウシカがそう言ってたんです。私、つらい時はいつもナウシカのこと考えてました。合コンの時とか。合コン誘われて、そんなの初めてだったから、将棋クラブのじいさん達んとこ行って予行演習しました。よし、絶対いける!と思って挑みました。男の人たち、私の顔見て、「何か怒ってる?」って何べんも聞きました。目つき悪いんですよ。ノーマルモードで相手のことにらんじゃうんですよ。
  それでもお酒飲んだら仲よくなれたし。わ~結構楽しいかもって思い始めた頃、あなた、部屋に入ってきました。あなた、一人一人つかまえてお説教始めました。大切な青春のこの時期に、何をへらへらしているのか、って。ボクシングなんかしなきゃよかったと思いました。
 でも、次の日、朝5時に起きて、河原の道を走ってました。生まれて初めて買ったブラジャーをあなたに捨てられた川です。つけたい…。凄くつけたい。でもこんなのつけたら、私、もう二度とリングに立てなくなる。ブラつけたらボクサー人生終わる。きっとナウシカもブラつけてなかったはず。ナウシカも合コン行けてなかったはず。
  「今立ち止まったら、悲しみに溺れてしまう。進まなきゃ」。そう思って…今日までやってきたんです!女子ボクシングなんて誰も見てないのに! 大会あっても余興扱いなのに! 前座扱いなのに!こっちは27年間、捧げてきたんだ!

 

 

4年前ドラマを観た時も、私は、ああ、私も、私もブラつけたらもうきっとリングに立てなくなる。ブラつけたら私のボクサー人生は終わると、心底そう思って、その時の私にとっての「かわいいブラジャー」は恋人ができることだったりセックスをすることだったりしたのですが、けれども私が私にとっての「かわいいブラジャー」を着けて後も、私のボクサー人生はとりあえずは終わらなかったわけです。

だけど私はやっぱり今でもブラつけたら二度とリングに立てなくなる気がしていて、そもそも私は私の立ってるリングの上で三流四流の、いやそれよりもっともっと悪いアマチュアのヘボボクサーで、こんなリングに立っててなんか意味あるのかな?さっさと降りた方が楽なんじゃないのかな?とかずっとずっとほんと最近そればかり考えますけど、でも、リングの外は真っ暗でぶっちゃけ怖くて、誰もタオル投げてくんねえし、それに、勝てなくてもボロボロでもいいからここにまだしがみついていたい気持ちも同じくらい多分あって、多分、きっと、あるんで......。

でも、とにかく、私は今でもブラつけたら私のボクサー人生終わるって思っていて、私の「かわいいブラジャー」は今はもしかしたら結婚や出産のことかもしれないし、やっぱり今でも恋人やセックスのことなのかもしれないけど、(ほんとうは、ほんとうはブラつけたってリングに立っていいはずで、かわいいブラつけてガンガン戦っていい、と思う。ブラつけたらもう戦えないというのは世の中が与えてくる強迫観念で、そんな強迫観念を与えてくる世の中はきっと良くない。けど私は今は、自分がヘボすぎることをよくよく知っているので、世の中ふざけんなとはなかなか言えず、ブラつけないことでなんとかリングに立つ資格を得たような気持ちになっているのだなきっと。だから世のみんなはブラつけてガンガン戦ってほしいよ、ブラつけて大丈夫だよ。つけたくなきゃつけなくっても別にいいよ。)とにかくとにかく私はそうやって、誰も見てねえリングにへろへろでしがみついてぴーぴー言ってる自分が、めちゃめちゃしんどそうで可哀想で、でもなんとかかんとか今日も生きててほんとうに偉いと、そう思います。

がんばろーね。ほんとうにほんとうに無理になったらその時は、ネパールへチョモランマを見に行こうな。